2017年09月24日

◆問われているのは、こころが見える関係づくりである  

ヒット商品応援団日記No687(毎週更新) 2017.9.24.

以前から経営危機が指摘されていたが、玩具量販の米「トイザらス」が経営破綻したと報じられた。日本トイザらスについては店舗での販売やサービスに変更はないとのことだが、日本における流通業にとって無縁なことではない。いやそれどころか米国トイザらスの破綻は日本のこれからの予兆のようなものとして受け止めなければならない。この破綻の背景には通販のアマゾンと玩具のディスカウンターに挟撃されたものだと言われているが、それは競争における現象としてはその通りである。しかし、本質として消費が変わってきており、価格と共にショップの意味合いが変わってきていることに他ならない。特に、おもちゃという「遊び」は目まぐるしく変化しており、遊びの中心は周知のように「ポケモンGO」に代表されるスマホ・ゲームが中心となっている。結果、いわゆる玩具・おもちゃという「物」の遊びはどんどん少なくなっている。

価格については前々回のブログ「再び、人力経営の時代へ」にも書いたが、その象徴例としてユニクロとguの比較とリーダーである柳井社長の第二の創業プロジェクトに触れたが、ショップの持つ意味、経営としての有店舗の意味合いが変容する消費と共に変わってきたということである。
数年前から私はわかりやすく「ショップで商品を見て、ネットで比較し一番安いところで買う」と、既にショップはショールーム化していると書いたことがあった。こうした購入方法は当たり前のことになり、都内の食品スーパーの多くは一定の購入金額以上であれば無料でデリバリーしてくれるサービスも日常化している。勿論、店舗にも行かないネットスーパーの売り上げ比率もじわじわと増えてきている。。そして、こうした物販のみならず、飲食サービスにおいても専門料理店のメニュー宅配といった同じようなことが始まっている。つまり、人手不足と言われているが、物流・デリバリーの進化が消費の変容を促しているということである。そして、もう一つショップが果たす役割は前回のブログにも書いた通り、「顧客情報」の収集にある。

ところでそのネット通販のアマゾンであるが、2015年度アマゾン経由の売上高は全米オンライン売上の33%を占めており、2016年度には43%へとその成長度合いを強めており、いわゆる一人勝ち状態である。そのアマゾンが少し前に高級オーガニックスーパー「ホールフーズ・マーケット」(440店舗)を買収したと話題になったが、その少し前の4月には日本国内においても野菜、果物、精肉などの生鮮食品を、最短4時間で配送するサービス「Amazonフレッシュ」を東京都内から開始したとしてその躍進ぶりを見せている。
世界最大の小売業「ウオルマート」はそのディスカウント業態を確立させたことによって成長してきたのだが、アマゾンの目指す世界はいわゆる複合小売業であり、前述の飲食サービスであるスイーツ、チーズ、コーヒー、お酒などの専門店27店の商品が注文できるようにもなっている。ある専門家に言わせると、ゴタゴタ続きの東京豊洲市場の多くをアマゾンに使ってもらったらという案を出す人も出るぐらいである。

話は元に戻すが、いわゆるこのEC化の進展があらゆる分野で進行しており、日本の小売業をはじめとした商業を根底から変えていくこととなる。ずいぶん前になるが、日本の小売業を牽引してきた百貨店の売り上げを抜いたのがコンビニであった。そして、あまり話題にはならなかったが、その百貨店売り上げを5年以上前に抜いたのがいわゆる通販業態であった。久しぶりに日本通信販売協会(略称=JADMA)のHPを見たのだが、2016年度(2016年3月―2017年3月)の通信販売市場の売上高については前年比6.6%増の6兆9,400億円とのこと。(この数字は加盟企業の集計であって、最近話題となっている個人間ビジネスCtoCなどは含まれてはいないのでこの数値以上に大きいということである)


2008年のリーマンショックによって、多くの小売業や飲食業がリストラせざるを得ない状況にあって、このグラフを見るだけでいかに進化成長してきているかがわかる。アマゾンや楽天、ヤフーといった大手事業者は別として、リアル店舗からネットショップへの「参入は個人商店など小規模事業がほとんどで毎年10万店ほどが出店していると言われている。こうしたBtoC以上に成長が期待されるのが、CtoC-EC市場である。
周知のヤフオクであるが、今注目されているのがフリーマーケットEC。ネット上のフリマで商品の個人間売買が行われ、そのプラットフォーム(場)を提供しているのが、メルカリやショッピーズなどである。つまり、ミニミニ個人ビジネスへとEC市場の裾野が広がったということである。あるいは、プロ級のハンドメイド商品やアート商品を売買するサイト「Creema」などもCtoC-EC市場である。つまり、従来あった異なる「ビジネス区分」をつなぎ合わせるプラットフォームがネット上に続々と創られ市場化してきているということである。このように成長が続くEC市場であるが、多くのEC事業者は東京オリンピックの2020年には現在の小売サービス売り上げ約300兆円の内、ヤフーなどは20%ほどのEC化率が見込めると予測している。ちなみに現在は18%ほどで、まだまだ成長する分野であるとのこと。

こうしたマクロ的な視点を踏まえることも大切であるが、インターネットによって個人需要にどのような変化をもたらし、これから更にどこへと向かっていくかである。2000年代に入り、企業のみならず個人の可能性を広げるツールであると、それをWeb2.0というタイトルで表現した。その可能性とは、「ロングテール」というキーワードに象徴されるように、小売店頭の片隅に置かれた、あるいは店頭に並ぶことからも外された商品に販売の「機会」を与えるビジネスファーマットの出現であった。その先駆けがアマゾンで、埋もれた商品を表舞台に上げる、そんな可能性である。売れなかった書籍が売れると同時に、中小書店は廃業へと向かったことは、これも周知の通りである。しかし、廃業していく書店にあって、読んでもらいたい埋もれた書籍を選び届ける地方の書店が注目され、生残る術を示してくれている。TVで何回か紹介されたことがあるので周知のことと思うが、北海道のいわた書店の「一万円選書」である。これも過剰な情報(書籍)にあって、埋もれてしまった書籍を読者につなぐアナログサービスである。

こうした「つなぐ事例」は他にいくらでもある。数年前から街場にヒット商品、人気店があるとブログを通じ指摘したのもこうした背景からである。TV番組「マツコの知らない世界」もその一つであるし、深夜の人気番組「孤独のグルメ」もそうである。最近注目され始めているBSーTVの「酒場放浪紀」も埋もれてしまった世界を表に出した試みである。これら表へと取り上げ、顧客と店とを「つなぐ」マスメディアの例であるが、SNSのメディアであるFacebookにおいても同様の試みはいたるところで出てきている。つまり、つなぐ方法・メディアは個人でもできるのがインターネットの時代の特徴である。
インターネットは過剰な情報をもたらしたが、その過剰な情報の中から欲しいモノを異なるジャンルの中から組み合わせ・つなぎ合わせ、ベストなモノへと変化させることができるのもインターネットの時代ならではの発想である。

今から12年ほど前にブログを始めたのだが、ちょうどブログが広がり始めた頃で、40万程度の日本語ブログ数であった。そのブログというメディアを称し、「個人放送局」というキーワードを多用したことがあった。ブログはFacebookに代表されるSNSへと進化し、そしてYoutubeは特別なメディアではなくなった。最近は分化してきており、ブログは個人新聞社、Youtubeは個人TV局、インスタグラムはグラビア雑誌ということである。そんな社会をマイメディア社会と私は呼んだ。
インターネットが象徴しているように情報技術は驚くほど急速に発展し、地球は小さくなり、同時代性、同地域性という世界が、経済ばかりか知的情報の世界まで拡大した。図式化すると、世界の共通語=英語、自国語、地域語=方言という3つの言葉を生きている。ブログであれ、Youtubeであれ、社会に発信する以上、ジャーナリズムの精神を忘れてはならないと自戒している。既にお二人とも他界しているが、ジャーナリスト筑紫哲也さんが亡くなられた時、コラムニスト天野祐吉さんは「ニュースに声を与えてくれた人」と語っていたことを思い出す。同時に、膨大な情報を整理し、防波堤の役割を果たしてくれていたと思う。筑紫さんがキャスターをしてきたTV番組のタイトルのように、多事という情報を争論できるようにしてくれた訳である。言葉は声であり、また文字である。

この生身の声の持つ意味を今一度再考すべき時にきている。つまり、効率論だけでインターネットやIT技術を語ってはならないということでもある。通販ビジネスは、店舗を持たない「顔の見えない者同士」のビジネスでもある。そうしたいわゆる通販ビジネスについて、顔が見える関係から、心が見える関係へと1歩踏み出すことの良き事例を次のようにブログにも書いたことがあった。

『通販生活のカタログハウスでは、顧客からの問い合わせに対し、「お客様窓口」などとは言わず、「お便りありがとう室」としている。お問い合わせいただきありがとうございますという意味だ。今も継続しているかわからないが、いただいたお便りに対しては直筆で返事を書くという。あるいは九州に皇潤というヒアルロン酸を販売しているエバーライフという通販企業がある。この企業ではシニアの悩みを聞くことが全てであると考えており、顧客は電話オペレータを指名することができる。つまり、電話オペレータ担当制を敷いている。人件費といった経済効率を考えたら「担当制」という発想は出て来ない。』

「心が見える関係」とは、理解から共感・共有というこころが通いあう関係に踏み込むということでもある。市場が心理化しているとは、有店舗ビジネスにおいても、その存在意義、可能性があるとすれば、この「心が見える関係」をどう創造していくかということに他ならない。つまり、今問われているのは、インターネットやIT技術でも、無店舗・有店舗の論議ではない。問われている本質は、顧客との間に「会話」があるかどうかである。今起こっている変化に対応するには、会話力、あるいは消費に関する諸データの分析などではない。まずすべきは、顧客の生身の声を聞くという原点に立ち帰って始めるということだ。(続く)  


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2017年09月11日

◆顧客情報を「読み解く競争」の時代  

ヒット商品応援団日記No686(毎週更新) 2017.9.11.

前回「再び、人力経営の時代へ」というタイトルでブログを書いた。主に「消費」という視点、「訳あり需要」の次はどうなるかということから顧客接点の重要さについて書いた。実はその背景には続きがあって、ここ数年今までとは異なる「再編」が起きていることから、「人」の重要性について書いた。
もう一つ重要なファクターとなるのが、テクノロジーの進歩であろう。ITからIotへ、そしてAIへという進化はインターネットを介したテクノロジーの進化である。この点については「パラダイム転換から学ぶ」(働き方が変わる)の中である程度進化の過程については書いて来たが、技術革命という点について言うとすれば、数年前から指摘されて来たテスラ・モーターズに代表されるEV革命であろう。このEV革命を後押しするように、中国をはじめEU各国はガソリン車からEV車への転換を国の政策課題として取り上げ推進し始めた。HV車に経営の軸を置くトヨタはどうなるであろうかといった論議が経済誌に取り上げられているが、今回はもう一つの大きな再編について私見を皆いて見たい。

確か2年ほど前になるが、牛丼大手の「すき家」が人手不足から24時間営業の店を次々と閉店していったことがあった。それは単に人手不足というより「ワンオペ(一人運営)」という経営のシステムそのものに問題が起きていたことによる。そうした24時間営業、あるいは深夜営業店はファミレスを含め次々と閉めていくこととなった。
ところでユニクロの柳井社長が昨年からビジネスを根本から見直さなければならないと再三再四コメントして来た。その多くはデフレ時代のファストファッション、その価格設定を中心としたものであったが、日経ビジネスオンライン及び週刊ダイヤモンドがインタビューを掲載しているが、第二の創業を迎えていると。そして、EV革命の重要なファクターであるインターネットによるファッストファッションの革命について「情報販売」を踏まえた精度ある需要予測に基づく製造ー販売の新たな仕組みを構築するための拠点「有明プロジェクト」についてのコメントであった。今までの製造小売業(SPA)から新たな情報システム産業に挑戦しようという試みである。

この背景には追いつき追い越せとして来た米国のリミッテッド(GAP、バナナリパブリック、オールドネービー)の低迷・混乱がある。周知のようにメインブランドであるGAPは大規模なSPA(製造小売業)チェーンとして世界のかじゅありファッションの先頭に立った。しかし、これも知られているようにファストファッションである H&Mや ZARA、あるいはフォーエバー21との競争が激しく、価格においても、ファッション鮮度においてもその中途半端さから2015年からは右肩下がりへと向かった。そして、今年に入りすでに新聞報道にもあるように北米のGAPブランドについて、約4分の1に当たる175店舗を閉鎖。本社では250人の人員削減を断行し、世界70店舗以上を閉め、事業整理を進めているという。日本においても「オールドネービー」吉祥寺店など閉鎖が始まっている。
このリストラ内容を見てもわかるのだが、GAPアウトレット・ファクトリーについては閉鎖されていないという点に見事に表れている。これは昨年夏のユニクロ柳井社長の値上げ失敗のコメントと同じ理由からである。
低価格帯のguが好調でユニクロは低迷というのも、フォーエバー21が日本市場に導入した時、”上から下まで1万円で揃う”というのが一つの特徴であった。日本市場も北米市場も従来のブランドには固執しないということだ。売れているのを見ればこうした低価格帯商品か、ツケ払いで一躍人気となったファッション通販のZOZOTOWN、あるいは下北沢や裏原宿の古着ショップである。

ところでそのユニクロが目指す世界についてだが、人工知能の能力が人間を超える「シンギュラリティー(技術的特異点)」の時代がすぐそこに迫っているという認識である。インタビューに答えて次のようにその世界を明らかにしている。

『技術の進歩によって、業種による差が急速になくなっています。「製造業」や「流通業」といった従来型の産業分類は、もうすぐなくなるでしょう。服を作っている企業なのか、システムを作っている企業なのか、ということはすべて関係なくて、唯一、顧客のニーズに自分たちの得意技で応えられる企業だけが生き残っていくと思います。
 そういう意味で、すべての企業が新たな創業期を迎えているんです。僕らも今、創業している最中です。これは僕だけでなく、企業全体で取り組まないとダメだと思っているので、一体感のあるオフィスを造り、ここに集まってもらいました。社員一人一人が起業家だと思って、この変化に取り組んでもらいたいですね。』

「SPA(製造小売業)」から「情報製造小売業」への変革ということであるが、ショップは店頭在庫や顧客の購買動向を正確に知るため、ICチップを埋め込んだRFID(無線自動識別)タグを全商品に取り付ける方針も示している。つまり、店舗、ショップの意味合いが根底から変わるということである。物としての商品はもちろん売るのだが、集まった情報を分析して「どの店」では「いつ頃」「どんな商品」が「どのぐらい売れるか」がわかるようになるということである。つまり、顧客を真ん中に置いて、各部署・商品企画や生産体制・関連企業がこの情報を元にシステマチックに動く、既にそうした無味で発展しているコンビニ業態に酷似していると言えよう。かなり前になるが、早朝のコンビニで意外にも米飯弁当や丼ものが売れる理由がわからないという課題があった。勿論立地によってだが、夜勤明けの夕食替わりにということがわかったのだが、ユニクロに置き換えれば従来の「シーズン物」と行った概念が変わっていくということである。

当然「人」の働き方も変わっていく。極論ではあるが、顧客接点では販売員から情報管理運営者へとかわり、「情報」を読み解く一人となる。今年の夏は東日本では寒い雨天の日が続き、おでんが飛ぶ方に売れた、そんなことが予測できる仕組みがコンビニと同様ユニクロにおいても行おうということである。
このように小売業のみならず、全ての企業が情報産業化という顧客情報を「読み解く競争」に入ったということである。そのようにAIを位置づけるということである。そうした再編の時代がすぐそこまで来ている。であればこそ「人」がますます重要な鍵となる。何故なら、定量情報をいくら精度高く分析しようとも、日々行き交う情報、顧客の声という定性情報は、現場の人間しか入手することはできない。現場で情報を読み解くとは、こうした顧客の声という定性情報に基づく能力が問われているということだ。前回のブログ「再び、人力経営の時代へ」の中で、雑貨専門店のロフトを取り上げたのもこうした背景からである。同じ雑貨専門店の東急ハンズの場合も現場の顧客の声から多くのアイディアフルな新製品が生まれている。顧客情報を読み解き使う時代に向かっていることは間違いない。(続く)  
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2017年09月06日

◆再び、「人力経営」の時代へ

ヒット商品応援団日記No685(毎週更新) 2017.9.6.

「訳あり」というキーワードが広く使われ始めたのは2008年のリーマンショック少し前からであった。当時は「エブリデーロープライス」というポリシーのもと躍進を続けるOKというスーパーマーケットの安さの背景を「訳あり」という説明を店頭で説明していたことに端を発する。そして、次第に「訳あり」というキーワードが浸透していくのだが、その考え方はスーパーのみならず飲食店やホテルなどのサービス業にまで急速に浸透していく。もちろん、景気低迷をさらに加速させたのは周知のリーマンショックであった。その後、町歩きをしながら多くの商店街や商業施設を観察した結果、実は「訳あり」というキーワードこそ使ってはいないが、同じような考えのもとに仕入れや販売を行い成長しているところは数多く生まれていた。その代表的な事例が、ハマのアメ横と呼ばれている興福寺松原商店街の鮮魚店や青果店であった。

その「訳あり」というキーワードは、10年を経て既に一般化し、当たり前のこととなった。言葉としての鮮度を失ったという意味ではない。生半可な「訳あり」は消費を促進する「訳」にならなくなったということである。今年に入り、ユニクロや無印、あのセブンイレブンやイオンが値下げに踏み切った状況にあって、今までの「訳」は購入の動機、選択理由にすらなくなったということである。私はこれをデフレの日常化と呼び、死語になったと指摘をしてきた。

2年ほど前、単なる「安さ」だけでは競争市場下にあっては「差」となりえない消費に向かっているとブログに書いた。その象徴例が圧倒的な「安さ」を売り物とした居酒屋チェーン「和民」の衰退である。(現在はスクラップ&ビルトの再生中である)その時、次のような4つの「差」の作り方があると整理をした。

●業態としての「差」ex,「俺のフレンチ」
●メニューとしての「差」ex,「くら寿司」
●価格における「差」ex,「味奈登庵(みなとあん」
●ネーミングなどコミュニケーションの「差」ex,「俺のフレンチ」

そして、最も大きな「差」づくりは「人」であると、”他に変えがたい”人材について書いたことがあった。もう少し分かりやすく言えば、「看板娘(おばあちゃん)」とか「頑固おやじ」といった名物店となる。人手不足の時代を迎えているが、この「人」による「差」づくりは益々重要なものとなっている。大手チェーン店は省力化が更に進み、ロボット化していくこととなる。あるいはセルフスタイルがどんどん増えていくこととなる。既にタグのついた商品をカゴに入れるだけで自動的に価格を読み取り清算できる、そんなシステムが浸透し始めている。
しかし、こうした省力化・自動化できない販売サービス業も当然ある。生活雑貨専門店のロフトにおける事例で、以前ブログで次のように書いたことがあった。

『確か7~8年前になるかと思うが、生活雑貨専門店のロフトは全パート社員を正社員とする思い切った制度の導入を図っている。その背景には、毎年1700名ほどのパート従業員を募集しても退職者も1700人。しかも、1年未満の退職者は75%にも及んでいた。ロフトの場合は「同一労働同一賃金」より更に進めた勤務時間を選択できる制度で、週20時間以上(職務によっては32時間以上)の勤務が可能となり、子育てなどの両立が可能となり、いわゆるワークライフバランスが取れた人事制度となっている。しかも、時給についてもベースアップが実施されている。こうした人手不足対応という側面もさることながら、ロフトの場合商品数が30万点を超えており、商品に精通することが必要で、ノウハウや売場作りなどのアイディアが現場に求められ、人材の定着が売り上げに直接的に結びつく。つまり、キャリアを積むということは「考える人材」に成長するということであり、この成長に比例するように売り上げもまた伸びるということである。

人口減少時代にあっては至極当然の経営である。「省力化・自動化」も、「人の成長」も、同じ課題に向かっている不可欠な方法である。ところがマスメディアはこの「差」づくりに注目が集まっていることもあって、違いを際立たせるために更にエスカレートさせているところが続出している。例えば、激安、激盛り、激辛、・・・・・・「激」であればあるほどまさかという「情報」を求めて行列ができる。行列という情報は、また次なる行列を呼ぶことに繋がることは事実ではある。いわば観光地化が進んでいくということである。しかし、単なる「激」だけであれば、それはブームであり、次第に寂れた観光地になる。インスタグラムで写真映えした観光地が数ヶ月後には集客を終えていくように。

前回のブログ「未来塾」で、大阪の街歩きから”「笑い」、「やりすぎ」、・・・・・・これでもかと顧客を喜ばせる工夫が満ち溢れているのが「今」の大阪である”と書いた。実はこのことは商業の本質としてあることを思い起こさせてくれたことによる。必要に迫られ、どこよりも安く、しかも便利に・・・・・・そんな買い物ばかりの日常にあって、本来の「楽しみを持って買い物をする」といういわば原点に気付かされた。効率、合理性、そんなことばかりに目がいってしまい、大事なことを忘れてしまってはいないだろうかということである。特に、笑いを誘うような、ちょっとしたアイディア・工夫から始めることが必要だ。それがメニューであっても、顧客にかける一声であっても、である。それが再来店を促すことへと繋がる。”会いに行けるアイドル”はAKB48であるが、また会って話ができる人、楽しみが生まれる店、それが「訳あり需要」の次に目指す課題となる。つまり、再び「人力経営」の時代に向かうということだ。(続く)
  


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