◆スポンサーサイト

上記の広告は2週間以上更新のないブログに表示されています。 新しい記事を書くことで広告が消せます。  

Posted by スポンサー広告 at

2022年12月11日

◆2022年ヒット商品番付を読み解く 

ヒット商品応援団日記No812毎週更新) 2022.12,11



2022年度の新語・流行語大賞はヤクルトの「村神様」であった。周知のように三冠王、史上初5打席連続ホームラン、通算150本塁打、2試合連続満塁ホームラン……。そのすべてに「史上最年少」の冠がつく。序盤、中盤、終盤そしてサヨナラ。右に左にセンターに。特大アーチを量産する彼をファンは『神』とよび熱狂し、東京ヤクルトスワローズをリーグ優勝に導いた。
また、11月末から始まったサッカーワールドカップでは日本チームがドイツ、スペインに逆転勝ちををし、決勝リーグに進出し日本中を熱狂させた。世界中のメディアからは称賛と共に、「ジャイアントキリング」を言う言葉とともに予想外、いや実力であるとした論評がなされたが、日本国民の多くもある意味予想外の勝利であった。

こうした予想を超える願望を昔から「大いなる力」「人智が及ばない力」のことを「神様」あるいは「神がかった」ものとして表現してきた。この3年弱コロナ禍による鬱屈した心理を時は話してくれるものが求められてきた。その一つが「村神様」であり、サッカー日本チームの活躍であった。求められているのは「思うがまま自由に」と言うことに尽きる。巣ごもり生活でのノンアルコール生活に注目が集まる、そんな「不自由な生活」からの脱却である。
実はヤクルトの村上を始めサッカー日本チームの堂安、三苫、など主力選手は皆Z世代である。前回の未来塾「昭和文化考」でも書いたが、過去の既成や観衆、常識から離れ自由に生きていこうとする世代が消費のみならず多くの分野でもその「芽」が出てきたと言うことだ。

ところで2022年日経MJヒット商品番付は以下のものとなった。

東横綱 コスパ&タイパ  、 西横綱 #3年ぶり」 
東大関 サッカーW杯日本代表 、西大関 ヤクルト本社    
東関脇 ポケットモンスター、西関脇 ジブリパーク
東小結 ワンピース、   西小結 トップガン
前頭 ガチャ旅、地位かわ、SHEIN(シーイン)、ユニクロ、・・・

東の横綱は「コスパ&タイパ」。あらゆる商品の値上げが続く中で、費用対効果がより重視されるようになった。西の横綱は新型コロナウイルス禍で中止されてきたイベントやレジャーの復活を示す「#3年ぶり」を選んだ。新型コロナ禍も3年目となり、耐えるだけの生活からの脱却である。

周知のように2022年は円安やロシアのウクライナ侵攻の影響で、食品や日用品など幅広い分野で値上がりが続いた。10月の消費者物価指数(生鮮食品除く)は前年同月比3.6%上昇し約40年ぶりの伸び率となった。生活防衛意識が高まる中、費用対効果や時間効率を求める消費が加速。ディスカウント店のドン・キホーテや業務スーパーでの大容量品などコスパのいい商品の売れ行きがよかった。
も一つの「タイパ」であるが、これは何回かコメントしたがZ世代が「倍速世代」と呼ばれるように、タイム・時間を有効活用するタイムパフォーマンスのことである。ドラマや小説など時間のかかるものには最後の結論を読み、興味がなければ次のものへと変えていく。過剰情報時代の一つの知恵でもある。

コロナ禍3年間は消費をなんとか喚起させたいとした3年間でもあった。昨年度の 西小結 冷食エコノミーは松屋銀座店には 「冷食グルメ」の売り場ができたり、冷凍製造機も小型化・安価なものが市場化されるようになり、町中華メニューや居酒屋の焼き鳥などの冷凍食品自販機が新たに作られ売り上げの補助としたり経営の多角化を図る店も出てきた。面白いことにこうした工夫はメーカーサイドも電子レンジで作る「冷やし中華」なども作られ、注目を集めた。これは電子レンジによる解凍だが、麺にのせた「氷」は溶けずに解凍ができると言う面白アイディア商品である。
こうした小さな驚き商品は前頭に入った「ガチャ旅」にも広がる心理に着眼した旅行商品である。元々ガチャは羽田や成田と言った空港の片隅におかれ、帰国時に両替しにくい小銭で遊べる機会であった。その後ガチャの中に入る商品がグリコのおまけではないが進化してきたものである。サッカー日本チームの予想外・驚きまでははいかないが、小さな驚きを生むおもしろがり心理商品は数多く見られた。これも鬱屈したコロナ禍ならではの小さなヒット商品と言えよう。

今年の春以降物価の高騰、私に言わせれば収入が増えない「悪性インフレ」であるが、このインフレは欧米各国の物価考と比較しそれ程大きな値上げにはなっていない。それはバブル崩壊以降の「デフレマインド」が底流にあり、各企業は思い切った値上げに踏み切る事が出来ないとした専門家もいる。今年のヒット商品番付にも「コスパ」を始めファッション通販「SHEIN(シーイン)」や、1日5分という超短時間のプログラムと月額3278円で新しい需要を発掘したRIZAPのジム「ちょこざっぷ」も支持を集めた。これらは従来の訳あり型商品・サービスとは異なるデフレ商品よ言えよう。

但し、JTBによれば年末年始の国内旅行者を2100万人と予測、海外旅行は15万人、第8波でも「予定通り出かける」が65%と消費意欲は旺盛である。その消費はコロナ禍は続いており物価高でもあり、慎重なものと言える。そうした意味で大きなヒット商品というより、今年のような小さなヒット商品、電子レンジで食べる「冷やし中華」の冷凍食品のようなアイディア商品、小さな単位で価格心理を抑えるといった心理商品が求められていくであろう。同じような傾向の中で、2021年と2022年の消費変化から見て取れるヒットの内側である。ちなみに2021年は次の番付であった。(続く0
2021年
東横綱 Z世代、 西横綱 大谷翔平
東大関 東京五輪・パラリンピック、西大関 サステナブル商品    
東関脇 シン・エヴァンゲリオン劇場版、西関脇 イカゲーム
東小結 ゴルフ、   西小結 冷食エコノミー

  


Posted by ヒット商品応援団 at 12:59Comments(0)新市場創造