2008年02月18日

◆中心化と分散化       

ヒット商品応援団日記No242(毎週2回更新)  2008.2.18.

以前、「中心化現象」について触れたことがあった。「場」の中心化現象については周知の都心回帰などが分かりやすい事例である。勿論、東京の中にも中心はあり、多摩ニュータウンのような郊外は限界集落化しており、立地というのが大きな要素に増々なってきていることを指摘した。日常における場としては、都市においては駅ということになる。地方においては大型商業施設の集積拠点であろう。つまり、通勤・通学あるいは生活利便という頻度多く利用する場が中心となる。今、地方においては中心市街地の空洞化、商店街のシャッター通り化が進み、郊外に移転させた病院等を再び中心である市街地に戻す試みも始まっている。また、県という境界を超えて、分散しているものを再編集するという試みも始まっている。

こうした場の中心化・分散編集の進行と共に、テーマにおいてはどうであろうか。例えば、昨年位までは「昭和」「家族・絆」あるいは「和」といったテーマによる商品化であった。こうした傾向は今も続いているが、そうしたテーマにおいても進化・深化が見られる。興味・関心を入り口に、体験し、学習し、厳選され、生活の中へと定着させている。今年のバレンタインデーで着目されたのが、「和チョコ」と呼ばれた和菓子メーカーが作るチョコであった。数年前から、洋菓子メーカーは小豆といった和素材を多用している。洋に振れた世界から和への変化である。2〜3年から注目されていた地の調味料、醤油は勿論のこと、ソース、塩、砂糖、出汁につかう塩乾物など埋もれた和素材がじわじわと売れている。レトルトカレーのボンカレーや三ツ矢サイダーといった定番ロングセラー商品は和と共に懐かしい「昭和」でもある。

ところで集中化が最も激しいのがマスメディアであろう。特に、TVメディアの多くはキー局と呼ばれる東京発の番組に集中しており、しかも新聞メディアの報道をニュースソースにした2次加工のようなもので、コメントを付加した程度の番組である。当然の如く取り上げるニュース商品については金太郎飴のようにどのチャンネルを回しても同じようなものばかりとなっている。こうしたマスメディアの情報集中化に乗っているのが、東国原知事や橋下知事であろう。選挙や世論調査はタレント好感度調査と同じだとはいわないが、情報は常に中心からの揺れ戻しがあるということも事実だ。最近のYouTubeが面白いのは、玉石混交ではあるがまさに個人放送局としてユニークなものが多い。更には、「勝手に広告」とばかりに広告まで秀逸なものがオンエアされている。ネット世界という分散する個人からの情報発信が一方では盛んであり、mixiを始め個をつなぐSNSが裾野を広げている。

今起こっていることは、中心化と分散化が錯綜しているということだ。情報の時代は、普通と過剰、 0と∞、とを行ったり来たりする。健康・美容ブームの中心にあった寒天、コエンザイムQ10、今はコラーゲンの吸収率競争となっている。マーケッターはどこに中心化が進み、どこは分散化が進んでいるかを見極めることが主要な仕事となっている。そのためには「見晴らしの良い場所」に立つことが必要だ。そうした意味で、東京というあらゆるものが一極集中する世界は見晴らしの良い場所と言えよう。(続く)

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Posted by ヒット商品応援団 at 13:10│Comments(0)新市場創造
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