2008年09月17日
◆公益資本主義と金融資本主義
ヒット商品応援団日記No299(毎週2回更新) 2008.9.17.
三笠フーズの汚染米転売手法がサブプライムローン問題における証券の編集転売方式とよく似ていると前回指摘した。その翌日、あのリーマン・ブラザーズ証券が破綻したと報じられた。いかにサブプライムローンという焦げ付き汚染された債権が見えないまま奥深く拡散しているか、問題の根深さを感じた。エコノミストの多くはリーマン・ブラザーズ証券の破綻はピークであると口を揃えていう。危機に瀕していたAIGは政府が救済に乗り出し、巨大金融企業の破綻は終わるかもしれない。しかし、いわば拡散するババをつかんだ保険会社や地銀の破綻がこれから始まる。日本における1997年の金融破綻の時もそうであったが、以降金融機関の再編・統合と共に貸し渋りや貸しはがしが起き、実体経済へと影響が波及していくことは間違いない。
ブログタイトルの「公益資本主義」という聞き慣れないキーワードは、原さんが提唱している構想である。周知のように原丈人さんは米国シリコンバレーで活動するベンチャーキャピタリストで、数少ない成功者の一人である。マネーゲーム化した米国経済を後追いする日本経済もいずれ行き詰まるであろうと1年ほど前から日本においても活動し始めた方だ。ポリシーは明快、全てが数字化される時代にあって「人間が幸せになるということが一番の目的で、お金持ちになることやGDPを上げることは幸せになるための手段です。」と、その著書のなかで明言する。その原さんは、米国型の金融資本主義の考え方から脱し、「会社は社会の公器」とし、その考え方を「公益資本主義」と名付けている。私の言葉でいうと、株主は会社を育て、その会社を通じて社会に貢献し、結果として株主利益を得る、ということになる。つまり、短期で利ざやを稼ぐといった市場ではない。原さんは、そんな長期的視野をもつ投資資金が世界で20%位はあるという。そうした長期資金を取引する株式市場、金融市場をNYでもロンドンでもなく日本で創っていくという構想である。
原さんは言う。「社会貢献度が高い企業であればあるほど株価が高くなる」という株式市場である。従来の株価の指標、金融工学から出される数値化された市場を脱した、私に言わせれば、様々な社会分野で貢献し、その「世間の評判」を組み込んで評価する株式市場である。
別な表現をすると、「育てる資本主義」とでも呼べる考え方だ。育てる人は、「暴走する資本主義」の著者ライシュの表現を借りれば、「市民」となる。バブル崩壊後の十数年、私たちが学習してきたことは、新たな「公」としての認識、一人ひとりが「公」務員との認識をもつことだ。マイブームならぬ、パブリックアクションがボランティアという狭い世界を超えて、広がりつつある。このブログでも取り上げてきたが、境界を超えて、行政と市民、産業と生活、大企業と中小企業、従来あった垣根を取払い、そして金融の世界でも原さんのような行動する個人が出てきた。
原さんにとって、ベンチャーキャピタリストとしての経験とは、ベンチャーという次なる産業を育てるための困難さ、資金調達面での難しさに直面してきたということだ。だから、「これから日本は何で食べていくのか」というテーマにチャレンジする若いベンチャーを育てたい。現在ある新興市場ではない長期的視野に立った株式市場を創ろうということだと私は理解している。
地方を歩いてみて分かるが、面白い技術と出会うことがある。しかし、具体的にどんなビジネスへと結晶していくか未だ分からない、時間のかかる未知数な技術に既存金融機関は見向きもしない。先日、沖縄へ行き、起業したいと行動し始めた若いメンバーと小さな勉強会を開いた。まだまだ、種の段階なので、メニューとして市場にテストの種まきを勧めてきた。発芽するか分からないビジネスであるが、その中の一つでも芽を出したら、原さんの構想にある新たな株式市場へと出してあげたいと思う。(続く)
三笠フーズの汚染米転売手法がサブプライムローン問題における証券の編集転売方式とよく似ていると前回指摘した。その翌日、あのリーマン・ブラザーズ証券が破綻したと報じられた。いかにサブプライムローンという焦げ付き汚染された債権が見えないまま奥深く拡散しているか、問題の根深さを感じた。エコノミストの多くはリーマン・ブラザーズ証券の破綻はピークであると口を揃えていう。危機に瀕していたAIGは政府が救済に乗り出し、巨大金融企業の破綻は終わるかもしれない。しかし、いわば拡散するババをつかんだ保険会社や地銀の破綻がこれから始まる。日本における1997年の金融破綻の時もそうであったが、以降金融機関の再編・統合と共に貸し渋りや貸しはがしが起き、実体経済へと影響が波及していくことは間違いない。
ブログタイトルの「公益資本主義」という聞き慣れないキーワードは、原さんが提唱している構想である。周知のように原丈人さんは米国シリコンバレーで活動するベンチャーキャピタリストで、数少ない成功者の一人である。マネーゲーム化した米国経済を後追いする日本経済もいずれ行き詰まるであろうと1年ほど前から日本においても活動し始めた方だ。ポリシーは明快、全てが数字化される時代にあって「人間が幸せになるということが一番の目的で、お金持ちになることやGDPを上げることは幸せになるための手段です。」と、その著書のなかで明言する。その原さんは、米国型の金融資本主義の考え方から脱し、「会社は社会の公器」とし、その考え方を「公益資本主義」と名付けている。私の言葉でいうと、株主は会社を育て、その会社を通じて社会に貢献し、結果として株主利益を得る、ということになる。つまり、短期で利ざやを稼ぐといった市場ではない。原さんは、そんな長期的視野をもつ投資資金が世界で20%位はあるという。そうした長期資金を取引する株式市場、金融市場をNYでもロンドンでもなく日本で創っていくという構想である。
原さんは言う。「社会貢献度が高い企業であればあるほど株価が高くなる」という株式市場である。従来の株価の指標、金融工学から出される数値化された市場を脱した、私に言わせれば、様々な社会分野で貢献し、その「世間の評判」を組み込んで評価する株式市場である。
別な表現をすると、「育てる資本主義」とでも呼べる考え方だ。育てる人は、「暴走する資本主義」の著者ライシュの表現を借りれば、「市民」となる。バブル崩壊後の十数年、私たちが学習してきたことは、新たな「公」としての認識、一人ひとりが「公」務員との認識をもつことだ。マイブームならぬ、パブリックアクションがボランティアという狭い世界を超えて、広がりつつある。このブログでも取り上げてきたが、境界を超えて、行政と市民、産業と生活、大企業と中小企業、従来あった垣根を取払い、そして金融の世界でも原さんのような行動する個人が出てきた。
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Posted by ヒット商品応援団 at 14:02│Comments(0)
│新市場創造