2012年08月12日

◆消費増税と消費変化(1)どんな文脈で消費を考えていくべきか 

ヒット商品応援団日記No529(毎週更新)   2012.8.12.

民主、自民、公明3党による消費増税に関する法案が本来改革すべき社会保障の中身が決まらないまま参議院で可決し実施へと向かった。そして、どれだけの増税になるか、今後予定されている東日本大震災への復興税や公共料金の値上げ等家計への負担がどの程度になるか、マスコミ各社は一斉に報道している。
既に、数ヶ月前から民間のシンクタンクにおいて増税による消費支出への影響が報告されている。例えば、

・三菱UFJリサーチ&コンサルティングは税率5%から8%への引き上げで「名目消費支出はプラス1・1%、実質消費支出はマイナス0・9%となる。これは年度の実質GDPを0・5%ほど引き下げる」と試算している。
・みずほ総合研究所は駆け込み需要のため個人消費が13年度に0・79ポイント押し上げられるとするものの、14年1・87ポイント、15年1・86ポイント、16年2・36ポイント押し下げると試算している。
・日本総研は「2014年度は、実質GDP(国内総生産)が(増税がなかった場合と比べて)マイナス0・9ポイント押し下げられる」としている。
・ニッセイ基礎研究所では「消費税率が予定通り2014年4月に8%に引き上げられた場合は、2014年度はマイナス成長となる可能性が高く、2015年10月の税率再引き上げが困難となる」と予測している。そして、悪影響は長期にわたり、15年度1・5ポイント、16年度1・9ポイント実質GDPを押し下げると試算している。

どのシンクタンクも消費は落ち込み収縮すると予測している。私はこうしたマクロ経済のプロではないが、デフレ下での増税が消費を更に萎縮させてしまうということぐらい、消費現場を見れば分かる話である。結論から言えば、米国ほどではないがGDPの約6割を個人消費が占めていることを考えると、やっと昨年秋口から3.11ショックから回復してきた消費もこれから先は難しい局面を迎える。つまり、景気は悪くなるということだ。そして、そのこと自体を生活者は十分理解している。

消費は「情報」によって左右される心理市場化されているが、一言で言うならば基本は将来の収入に対し、楽観的であるか、悲観的であるかによって決まる。
過去10年間で世帯収入は100万円弱減少するなか、2008年秋のリーマンショック後、何が起きたか想起しなければならない。翌年の春には一斉に「副業」に走る人が増えた。主婦は勿論のこと、サラリーマンも休日には副業へと向かい、勤務先企業もこれらアルバイト収入を認めるところも出てきた。未来に楽観できないということの証左であろう。
この2008年度の日経MJの「2008年ヒット商品番付」の概要は以下の通りであると私はブログにも書いた。

『東西の横綱には「ユニクロ・H&M」と「セブン&アイとイオンのPB商品」、大関は「低価格小型PC」と「任天堂DSのwiifit」、関脇には「ブルーレイ」と「パナソニックの電球型蛍光灯」と続く。東芝のDVDレコーダー「ブルーレイ」が入ったのは、HD-DVDレコーダーの市場からの撤退によってシェアーが伸びたもので、それ以外は全て価格価値に主眼を置いた商品ばかりである。「お買い得」「買いやすい価格」、あるいは「パナソニックの電球型蛍光灯」のように、商品自体は高めの価格であるが、耐久時間が長いことから結果安くなる、「費用対効果」を見極めた価格着眼によるヒット商品である。そうした自己防衛市場への消費移動として理解すべきである。』

この自己防衛志向は以降も基本潮流として続いている。例えば、現政権の目玉政策である「こども手当」はどんな消費へと向かったかにも消費心理として明確に出てきている。確か「こども手当」実施前の博報堂による調査結果、手当の使い道は次のようであった。

『「

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Posted by ヒット商品応援団 at 14:26│Comments(0)新市場創造
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