2007年05月30日

◆キーワードの分かれ道

ヒット商品応援団日記No171(毎週2回更新)  2007.5.30.

膨大な情報が生まれては消える時代にあって、全ての事柄はどのようにキーワード化すべきかが重要な時代になった。過剰な情報の中から取り出しやすくするために、検索しやすくするために、短縮、圧縮された言葉を考える。しかし、キーワードの本来の意味は読んで字の如く、裏側にある膨大な情報世界の「鍵」となる言葉である。前々回のブログ「一点突破戦略」の中で、「たった一人、たった一つの出来事、たった一言によって市場は大きく変わる」と私は書いた。

今、政治の世界、というより身じかな生活の問題である国民年金において、5000万件もの納付記録が消えている事件について多くの国民の注目が集まっている。注目というより、この不明となった責任の所在に対し、ほとんどの人はそのずさんさを超えて怒っていると思う。政府はその対策として、5年と言う時効の再検討を含め「救済法案」を議員立法という形で準備しているという。多くの人は責任の所在を含め、5000万件の納付に対する明確化を求めているのであって、「救済」ではない。恐らく、数ヶ月後、いや数週間後に、この「救済」というキーワードは、一点突破とは正反対の「一点崩壊」のキーワードになると思う。無造作に使った言葉であると思うが、その裏側に潜む傲慢さやおごりを感じてしまっているのだ。

今まで、雪印乳業を始め多くの経営リーダーが不用意に発言した言葉によって崩壊していく様を見て来た。不用意さの中に、コトの本質を感じた場合、その多くの結果は周知の通りである。コトが企業の存立を危うくするような大事ではないにしろ、小さなコト、一言によって顧客を失うことを私たちは知っている。その逆に、素敵な一言によって生涯の顧客になることもである。政治の世界においても、滋賀県知事選挙における「もったいない」や最近の宮崎知事選挙の「しがらみのない」といったキーワードは民意をとらえたキーワードであった。選挙の場合、マスコミは多くの人を無党派と呼ぶが、小売業などにとってはその顧客の多くは無党派みたいなものである。

そして、松岡農水相の自殺である。何故と誰もが驚き私自身も推測の域をでないが、「たった一人の人物」、時代を動かすキーマンになったと思う。時々、昨年来「質問主意書」で注目された鈴木宗男氏のブログ「ムネオ日記」(http://www.muneo.gr.jp/html/page001.html)を見たのだが、今回の自殺の要因を垣間みるような内容が書かれていた。何か、キーワード、キーマン、時代の鍵となる出来事が衝撃を持って進行している感がする。与党、野党といった狭い枠ではなく、ある意味一番遅れていた「政治」の世界のパラダイムが、ごろごろと音を立てて崩れて来ていると思う。国民の多くは、一点崩壊ではなく、一点突破の新しいキーワード、キーマンを求めているのだが。(続く)
*追補 多くの人が「ムネオ日記」にアクセスしているようなのでなかなかつながりません。時間をおいてアクセスされ5月28日の日記を読まれたらと思います。

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Posted by ヒット商品応援団 at 13:39│Comments(0)新市場創造
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