2010年02月14日

◆凍えた風景

ヒット商品応援団日記No444(毎週2回更新)  2010.2.14.

今年の冬は暖冬との長期予報であったが、見事に外れた。ユニクロのヒートテックを始めとした肌着類は予測が外れ、どこも品切れ状態が続いている。どのメーカーも小売業も、無理はせず、全てを控え目にした結果であろう。控え目とは収縮であり、展望の無さを証明していることでもある。
ところで、今年もまた「サラリーマン川柳」の入選作100選が発表された。時代の空気感を表した一つであるが、私が使ってきたキーワードを組み合わせると次のようになる。

・巣ごもり消費/エコライフ 行かず動かず 何もせず 後始末
     /ウチだって インフルだけは 新型だ シロップリン
      /手抜きした 妻の言いわけ エコ弁当 とらさん

・年間所得100万円減少時代/一・二・三 我が家のビール 変遷史 しゅう
       /逆らえず ウチのこづかい 仕分け人 愛妻家
        /草食系? いいえ我が家は 粗食系 頑張れパパ
        /節約と 人には言わず エコと言う 環境問題
                                 
数年前までは、夫婦や上司・部下といった人間模様の川柳が多かったが、年々笑うに笑えない現実をテーマにしたものが多くなってきた。庶民が本格的に言葉遊びを楽しみ始めたのは江戸時代の川柳である。初代柄井川柳(からいせんりゅう)が始めたものだが、庶民誰でもが参加できるように前句というお題に対し、それに続く句を詠む遊びである。この前句から続く後の句が独立したのが「川柳」である。
サブプライムローン問題が表面化する前、ちょうど3年前に、この「サラリーマン川柳」を取り上げていた。既に、消費低迷を感じていた私は一つの心理的打開策として、次のように書いていた。

『敢えて、川柳を取り上げたのは、私たちのビジネスの考え方として、時代というお題に対し、後の句をどう詠んでいったらよいかよく似ているからである。しかも、川柳はくすっと笑える、そうそうとうなづける表現形式である。不安ばかりが増幅されている時代、停滞気味の市場情況の中にあって、顧客のこころの扉を開けるにはユーモア、遊び感覚こそ必要となる。』

3年後、今年の入選作を読んでみたが、あまりにリアルすぎてユーモアにならない句が多い。そうそうと頷けるが、その後の笑いはない。言葉遊びどころではない、というのが生活実感である。

前句という時代のお題は、「巣ごもり消費」や「年間所得100万円減少」である。元来、日本文化の無防備とも言える開放性によって、外から様々なモノや文化を取り入れてきた。つまり、周りを気にする民族であるが、周りは今年の冬のように凍えた風景ばかりである。

こうしてブログを書いてきたが、子供の非行、薬物中毒の悲惨さに夜回りをして救いの手を差しのべている水谷修先生の言葉を思い出す。少女達に、つらい過去ではなく、明日を語らせなければいけないと。今は閉鎖されているが、その水谷先生の掲示板のタイトルは「春不遠」であった。(続く)


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Posted by ヒット商品応援団 at 13:54│Comments(0)新市場創造
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