2010年01月01日

◆2010年の応援歌

ヒット商品応援団日記No432(毎週2回更新)  2010.1.1.

新年あけましておめでとうございます。旧年中は拙いブログをお読みいただきありがとうございました。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

ところで、年代、性別あるいは地域や国の垣根を超えて、歌は常に人々への応援歌であった。昨年春、アンジェラ・アキの「手紙」、未来の自分に宛てた手紙なら素直になれるだろう、だから「未来の自分に手紙を書いてみよう」と呼びかける歌についてブログに書いた。更に、吉田拓郎の最後のライブコンサートであった「ガンバラないけどいいでしょう」についても書いた。共に、あるがままの自分でいいじゃないか、時に疲れたら少し休もうじゃないか、とメッセージを送った歌で、世代を超えてつながっている歌であった。情報の時代という凄まじいスピードに、生き方までもがからめとられてしまう時代にいる。過剰さは情報やモノばかりではない。生き方までもが知らず知らずの内に過剰になってしまう。足し算ばかりの過剰な生き方から引き算の生き方へと変化し始めている。引いてもなお残る自分、そんな自分を見出す時代だ。だから、生き急いではならない。年末、久しぶりにNHKの「紅白歌合戦」を見たが、ちょうど「いきものがかり」による「YELL」であった。「手紙」と同じNHKの全国学校音楽コンクールの中学の部の課題曲であるが、2009年という年に生きてきた人達へのまさに生きることへの応援歌であった。

さて、元旦の新聞各紙、朝日、日経、東京の3誌を読んだが、東京新聞を除き、ジャーナリズムとしての時代に向き合う思想も鮮度も喪失している。確か、2年前の日経新聞の元旦号一面は「沈む国と通貨の物語/漱石の嘆きいま再び」と題し、円の力の低下を国費留学生としてロンドンに留学していた夏目漱石のコメントを重ね合わせた良い記事であった。今年は「成長へ眠る力を引き出す」とし、シニアと女性に注目した「ニッポン復活の10年」という視座で編集されている。日経らしいと言えば、それなりの構成とはなっているが、視座としての鋭さも鮮度も欠けている。もっとひどいのが朝日新聞である。閉塞感が充満する日本が前へと進むために「動く世界と共に」を掲げている。抽象的で茫洋とした一般論的視座で、その内容も読むに耐えない。一方、東京ローカル紙という特性もあるが、生活者の視座と同じ目線で紙面構成されているのが、東京新聞である。一面は、ホームレス診療を16年続けている和田龍蔵医師に焦点を当て、「難しい病気を先端医療で治す」のではなく、セーフティネットの隙き間にこぼれ落ちたホームレスの「救える命を救う」こと、そうした常識の転換を促す良い紙面となっている。
今年から日経新聞朝刊は140円から160円へと20円値上がりした。恐らく赤字続きの大手新聞各紙は春には右にならうことであろう。仕事上新聞は読まざるを得ないが、かれらこそ常識の殻を破り、読むに耐える新聞として復活すべきであろう。

東京新聞の元旦号ではないが、格差というまだら模様は、貧困という鮮明な模様へと変化してきた。それは希望格差として、希望の喪失として表れてきている。デフレは経済の在り方ではあるが、心理化した市場においてはデフレの内実はこうした希望喪失に依るところが大きい。希望は不安を取り除くことから始めると言われるが、それらは単なる一般論としての理屈である。理屈からは希望は生まれない。もし生まれるとするならば、全て現場、具体性の中からである。
私もそうした具体性へ、フィールドワークに応援団として出かけて行こうと思っている。2月21日には京都府南丹市の依頼で地域フォーラムの基調講演にでかける。2月か3月には、沖縄でトークイベントのようなことをやりたいと考えている。どんどん地域、現場へと出かけるつもりである。そうしたことから、このブログも不定期になるかもしれない。しかし、1日150〜200名の方が読んでいただいているので、出来る限り都市に於ける消費変化という課題に向き合いたいと思っている。今年も一年どうぞよろしくお願いいたします。(続く)


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Posted by ヒット商品応援団 at 13:35│Comments(0)新市場創造
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