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2011年04月20日

◆家族だよ、全員集合

ヒット商品応援団日記No498(毎週更新)   2011.4.20.

例年であると1週間ほど前に発表があるのだがやっとJTBからGW期間中の旅行の予測数字が発表された。一泊以上の国内や海外へ旅行に出掛ける人数は前年比27・6%減の1609万人となり、比較できる1990年以降で下落率が最大となる見通しであると。勿論、東日本大震災を受け、東北地方などへの旅行の取り消しや延期が影響したものであるが、やはりそうであろうなと思う数字であった。前回のブログでは3月の海外客数が前年同期比50%減という数字を踏まえて考えるに、いかに移動が停滞、内に籠り切り状態が続いている感がする。約1ヶ月前に、東京の街を「光と音を失った街」と私は表現したが、これからも当分の間続くということである。

内に籠ると表現したが、東日本大震災を受けて自己防衛市場が拡大している。LEDといった省エネ・節電型の家電製品が売れているが、そのなかでも最も注目されているのが家庭用の蓄電池である。あるいはエアコンを使用しない場合の代替商品として扇風機が既に売れ始めている。そして、夏に近づく頃には懐かしい和の涼、簾や扇子、浴衣といった生活グッズ類も売れて行くであろう。昨年の大ヒット商品であったアイスキャンデーやラムネといった商品も同様である。団塊の世代は分かると思うが、未だエアコンがなかった時代の夏の過ごし方を思い浮かべればその類の商品を少しセンス良くしたものが復活するということである。ここでも、「古が今新しい」としたヒット商品が生まれる。

ところで、村上龍氏が編集長となっているJMMの東北における医療チームの活動レポートを読むにつけ、マスメディアは既に復興及びその財源などの論議をしているが、今なお戦っている被災者がいかに多くいることに愕然とする。東京にあって、被災地東北にないもの、それは電気や水、ガスといった社会インフラの有無、その便利さや快適さであるが、生活という視点に立てば、日常があるかないかである。日常には仕事があり、家族がいて、子どもの心配もし、時に叱ることもある。そんなごく普通の日常の大切さを被災地東北の映し鏡の如く感じている。これが都市生活者の今であろう。

その日常であるが、非日常と比較対比してみるとそのライフスタイルの全体像が浮かび上がってくる。カッコ内を非日常とすると、
内側(外側)、安定(変化)、継続(単発)、普通(特別)、カジュアル(フォーマル)、軽さ(重たさ)、小(大)、近い(遠い)、
こうしたキーワードにテーマとするものをつければより鮮明になる。例えば「食」であれば、内食(ウチゴハン)で、安定・継続とは慣れ親しんだ定番・定食のようなメニュー、しかも堅苦しくなく、小額というあまりお金もかけないで、出かけたとしても近場で食べられるような食のスタイルである。
例えば、GWの楽しみ方であるが、一泊旅行ではなく、日帰りであまり遠くない場所、しかも何回か出かけたことのあるところに、手作りのお弁当を持って家族で出かける、といった楽しみ方となる。東京でいうと、緑の多い昭和記念公園のようなところである。あるいは、旅行の替わりに近所の回転寿司に出かけたり、ボーリングを楽しむといったものとなる。

もう一つ東京にあって、被災地東北にないもの、それはこれから思い出をつくれる東京と、思い出を探しに被災地を今なお歩く東北がある。その思い出とは、特別な何かの思い出というより、何気ない普通の日常生活であり、その日常をあらわしているような何かである。震災後1ヶ月経っても、行方不明者が1万3660名余、その数の思い出という日常を探す人達の姿を、東京に住む人達はこころに焼き付けている。これがより日常を大切にするライフスタイルへと向かわせる理由である。
そして、何よりも思い出となりえる家族、パートナーの存在とその絆を確認し合えるのが日常であるが、そうした日常を取り戻そうとするコミュニティが東北には存在している。壊滅した行政に代わって、被災住民が避難所を作り、食材を探し食事を提供し、一つの自治として生きながらえている地域が多数ある。東北の底力、と表現されているが、それは都市生活者が失ってしまった絆でありコミュニティである。こうしたバラバラとなった都市の個人化社会にあって、今回の大震災は失われた家族の存在を強烈に想起させた。これから思い出をつくれる東京という意味はこうしたことである。結果、結婚ブームが起こるかもしれないし、結婚しなくても安心を委ねられるパートナーを意識し合い、互いに思いを確認・交換し合うジュエリーといったモノが生まれるかもしれない。シニアであれば、坂本冬美の歌ではないが、「また君に恋してる」と旧婚旅行に出かけるかもしれない。つまり、今回の大震災は都市化によって失ってしまった絆の大切さを気づかせてくれた。家族単位というライフスタイルの再編集が始まる。家族だよ、全員集合である。(続く)   


Posted by ヒット商品応援団 at 13:44Comments(0)新市場創造