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2008年09月21日

◆H&Mレポート 

ヒット商品応援団日記No300(毎週2回更新)  2008.9.21.

H&Mの1号店オープンを機会に、久しぶりに銀座に出て、GAP、ZARA、H&M、ユニクロを見て回った。銀座に世界のNO3までのカジュアル衣料ブランドが集まり、競争が一段と激化すると報じられているが、ユニクロの柳井社長がコメントしているように競争相手は異なる。銀座を少し歩けば分かるが、ZARAやH&Mの並びにはインポートブランドのPRADAがあり、横丁ににはフェラガモのフラッグショップが見える。高級ブランドから、世界の量販ブランド、百貨店まで、世界の消費の全てが凝縮された街が銀座だ。しかも、フラッグショップ(旗艦店)として出店しているので、最新の商品、ブランドコンセプトを最もよく表現した店づくり、ブランドサービスを体現した人材、つまり世界中のブランド情報の最新発信メディアが銀座に集積されている。

GAP、ZARA、H&M、ユニクロの中で、特に印象的であったのが、ユニクロとH&Mであった。ユニクロの銀座店は3年前のオープン直後に見に行っている。GAPに追いつき、追い越せとデザイン研究所をつくり、商品化した後のフラッグショップとしての銀座店オープンであった。その時の印象を3年前、私はブログで次のように書いていた。

『ユニクロ銀座店の印象であるが「店づくり」「売り場づくり」は大分良くなり、今風の白を基調にした明るい店となっている。エレベーターの踊り場にはユニクロが目指すコーディネーションがライフスタイルシーンとして表現され1つの世界をつくりつつあると感じられた。但し、セルフスタイルの売り場でスタッフがどこまでスタイリングサービスできるかがポイントになると思う。ところで商品MDであるが、これは印象であるが「そこそこトレンド」を取り入れていると感じられた。旧来の商品との違いはかなり出ている。但し、やはり「量」を売ることに重点を置かれているので「そこそこトレンド」になったのであろう。これは私の推測であるが全体印象として「ブランディングの第一歩」としては良かったのではないかと思う。但し、もう少し「スタイル感」が見えるようになりえた時「次のユニクロ」になると思う。』(2005。10。14。NO17/番外編より)

3年後、ユニクロが目指す「スタイル感」はかなり出来上がりつつあると思った。個々の商品のデザインがかなり良くなっており、そのコーディネーションも「ユニクロ・スタイル」に向かいつつある、と感じた。勿論、お手本はGAPであるが、テイスト・センスはユニクロ独自なものである。

1990年代後半からユニクロを始めとした量販型のブランドはデフレの旗手と呼ばれ快進撃を続けていく。しかし、高度情報化社会においては「違い」を求める市場(個性を求める市場)であり、一定の市場浸透は必ず臨界点(同一を嫌う飽和点)へと向かう点にある。同じものを身につけたくはないという心理である。ユニクロ始め、コムサイズム、無印良品、こうした取り扱い商品は異なるものの同じように臨界点を迎え、停滞し、無印良品においては経営危機と言われるまで落ち込む。勿論、GAPも同様である。個性を売り物にしたセレクトショップの代表格であるビームスは臨界点の手前で出店をストップさせる。

こうした市場の推移を踏まえてH&Mは導入されたと私は理解している。それは、シャネルのデザイナーとして有名なカールラガーフェルドを起用し、NY進出では全商品が2時間で完売し話題となったようにトレンドを創ることに長けた戦略である。H&Mの商品とZARAやユニクロの商品を較べると一目瞭然であるが、極めて多彩なデザインの商品が多い。ある意味、デザインというトレンドクリエイティビティ先行戦略と言えよう。日本の生活者もこうした独自なトレンドを求めて行列をつくっていた。そして、4社とも価格帯はほぼ同じで、かなり安く感じることと思う。

ここ2ヶ月ほど価格に関するブログが多かったが、今回のリーマンショックはじわじわと日本にも押し寄せてくる。つまり、あらゆるものに対し今以上に「価格」にシビアになるということだ。東京では新築マンションのアウトレットが再び注目されてきている。バブル崩壊後、収入が下がり始めた1998年以降にも現れた新商売であるが、売れ残ったマンションばかりを集め更に20〜30%安く販売するビジネスである。
H&Mがどの程度出店していくのか分からないが、ユニクロ、GAP、ZARAといった量販型の価格帯が一つの標準になっていく。もし、打撃を受けるとするならば、まずメーカーと共同開発をしてきた百貨店ブランド商品であろう。つまり、目が肥え、体験肥えした顧客にとって、一定のデザインクオリティに達していれば、当然安い価格帯の商品を選ぶということだ。今回、GAP、ZARA、H&M、ユニクロと見て回ったが、あるレベルのデザインクオリティに達していると強く感じた。(続く)  


Posted by ヒット商品応援団 at 14:07Comments(0)新市場創造