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2008年01月20日

◆新しい現実

ヒット商品応援団日記No235(毎週2回更新)  2008.1.20.

2008年になり新車販売台数が前年比で7.6%減、35年前の水準に戻り、あのトヨタでさえ前年実績を6.2%も減らしたと報じられた。新車ばかりか、昨年上半期は好調であった手軽で安価なファーストフォードですら右肩下がりに転換しつつあり、CDや雑誌といったものも販売不振だ。私は既に昨年から、消費は厳選から減選へと向かっていると書いた。更には、価格という超えなければならない課題をメーカーも小売業も解決しないことには先へと進めないとも書いた。この根底には昨年国税庁が発表したように年収200万円未満の所得者が1023万人と21年前に戻るような経済情況にある。やっとマスメディアは景気後退を取り上げ始めたが、最早猶予はないというのが生活者心理だ。

1年半ほど前までは景気は順調で、昭和のいざなぎ景気を超えたと発表されたが、その景気はどこへいったのか。日銀による低金利政策による円安誘導を背景とした輸出企業の好調、更には中心部の再開発を中心とした不動産、あるいは不動産ファンドといった金融の活況によるもので構造改革の成果でもなんでもない。2006年12月に「景気と消費」というテーマで、消費は先行きの見通しによって行動へと移ると私は書いたが、所得を伸ばし内需を活性させることなく、無策のまま「先行き」が見えない一年という時間を費やしてしまった。日本のGDPの約60%が個人消費によるものだ。誰もはっきりとした言葉にはしていないが、「新しい不況の時代」を向かえている。物価は上がるが、所得は上がらず景気は悪いという情況を経済アナリストはスタグフレーションと呼ぶが、どんな呼び方をしようが新しい不況の時代に違いない。

テレビ東京の夜11時からの番組「ワールドビジネスサテライト」を見られた方もいると思うが、やっと日経も最近の消費傾向を定番消費・定番回帰というキーワードを使って消費心理の傾向を認め始めた。生活者の関心が、NEW製品からロングセラー商品へと回帰してきているというコメントと共に、三ツ矢サイダーや書籍では名作と言われている本をその定番回帰事例として挙げている。昨年から私が指摘している「使い慣れた確かさ」「信用できる確かさ」への回帰である。話題という情報、サプライズ手法に振り回された経験からの脱皮でもある。本業・本道、メイン商品、中心、過去、足下、あるいは老舗、信用と言っても良い・・・停滞する踊り場での「生活見直し回帰」ということだ。

この新しい不況時代を生き抜くビジネスヒント・アイディアは昨年一年間私が書いたブログを読んで欲しいが、確かさという「信」の置ける企業であり、商品ということに極まる。今、厳選から減選へと量的にも消費は収縮している。しかし、一度経験した消費水準=質を落とすことは言い得て難しいものだ。そうした消費心理に対しては基本は変えずに小さな単位で商品を作り価格を下げる方法である。既に大手コンビニでは地域価格の設定において、メインの弁当であれば、おかず等の量を減らし、その分の価格を安くするといった方法を採っている。そして、そのことをきちっと公開すれば良いのだ。

また、「確かさ」をどう販売するかがポイントとなり、「確かさ」のために行う「お試し」が通常販売であると認識することだ。そんなに安くは出来ないという声が聞こえてきそうであるが、期間や時間を限定したり、個数を限定すれば良い。生活実感に依拠しないマーチャンダイジングはあり得ない時代ということだ。また、この「確かさ」は足下に眠っている。「今、地方が面白い」というテーマで足下発掘について書いたことがあるが、次回はグローバリズムとローカリズムを対比させて書いてみたい。(続く)  


Posted by ヒット商品応援団 at 13:57Comments(0)新市場創造