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2007年11月11日

◆価格価値化へ       

ヒット商品応援団日記No217(毎週2回更新)  2007.11.11.

ここ数年、情報によって振り子のように揺れて来た消費はその振り幅が小さくなってきた。それまで情報によって振り回されて来た学習体験を踏まえ、自分にはこれが一番、といった物差しをもったことによる。別な言葉を使うと、生活者の消費行動は「厳選」がキーワードとなった。厳選される理由が、品質、デザイン、価格、独自性、便利さ、・・・・そうした選ばれる理由を競争し合う厳しい市場となっている。メーカーも流通も、他にはない独自な選ばれる理由を求める競争であった。私が地方の時代と呼ぶのも、こうした他にはない独自な商品が都市市場という舞台に上がり注目され始めたことによる。

ここ数ヶ月前からマヨネーズ(前年同月比11.7%アップ)を先頭に身近な商品の値上げが続き、投機資金が石油に集まったことに起因する原油高・ガソリンの高騰は150円近くまで上がっている。一方、薄型テレビを始めとしたデジタル家電は20%前後値下がりしているが、購入頻度は低く、今後タクシー料金やビールを始め値上が予定されており、日常の消費実感は「値上げ感」が強くなって来ている。特に、今までは大手流通がアップした価格を吸収してきたが、それも最早限界となり、店頭での価格上昇は避けられない。偽装問題による産地表示や賞味期限、更には保存料の使用有無といった表示を子細に見てから購入するだけでなく、今まで以上に価格にシビアな顧客反応が出てくる。

また、先日の経済諮問会議のレポートからは、増税というテーマも出て来ている。与党と野党との大連立がご破算になった今すぐにとはならないが、早晩増税がやってくると多くの生活者は実感している。収入は増えないが、物価は上がり、増税が押し寄せてくるといった情況にあり、景気は予想以上に悪くなっていく。
厳選消費は減選消費へと向かっていく。例えば、意味的に表現すると、週1回家族で外食していた回数が、2週間に1回外食することとなる。1992年バブルが崩壊し、「父帰る」というキーワードと共に味噌や醤油が売れ、外食から内食へと変化したことを思いだす。

ところで、2007年と1992年当時とは生活経済の環境は全く異なる。1992年はまさにバブルという泡がはじけたという消費実感であったが、今日のそれは構造的なものとなっている。高度成長期以降、一億総中流時代を経て久しく聞いていなかった「貧困」というキーワードが「格差」というキーワードに替わるように社会に出て来た。勿論、戦後の何も無かった時代の貧しさではない。今年9月に国税庁から発表された昨年度の「民間給与実態統計調査」では、4500万人弱の給与所得者の内、年間所得300万以下が1741万人(38.8%)を占め、勿論年々増加傾向にあり、300万〜1000万という従来の一億総中流と見られていた所得者は2519万人(56.3%)で減少傾向にある。1000万円を超える所得者は224万人(5%)となっている。ところで、100万以下の所得者が361万人(8%)に及んでいるというのが実態である。

誰を顧客とするのか、という課題設定と同時に「価格」は極めて重要なテーマとなってきた。価値価格化というキーワードを私も使って来たが、これからは価格価値化ということも視野に入れなければならない時代になった。つまり、価格という壁を越えない限り、目指すべき価値に辿り着けないという意味である。どんなにこれはいいと思っても、価格という壁を越えないかぎり市場化できないという消費構造になりつつあるということだ。ソフトバンクが仕掛けた携帯料金を始め、ガツン系、特盛り、タイムサービス、夫婦割り、超割、・・・全て価格価値化の世界である。あのdancyu12月号の特集テーマは「ガブ飲みワイン」で1本1000円台のワインを紹介している。値上げ、増税という時代にあって、1990年代半ばIT技術の駆使による第一次価格革命に続き、価格価値化の第二次価格革命が起きる時代にいる。(続く)  


Posted by ヒット商品応援団 at 11:57Comments(0)新市場創造