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2007年08月01日

◆参院選の結果を読む

ヒット商品応援団日記No189(毎週2回更新)  2007.8.1.

丁度2年ほど前に郵政民営化をテーマにした総選挙があった。いわゆる小泉劇場・サプライズ選挙で、私がこのブログを始めたばかりで、そのコミュニケーション戦略を分析したことがあった。前回ブログの「視座という目」ではないが、実はこの2年間で大きく変わったことがいくつかある。今回の自民大敗という現象につながる新しい変化であり、読み解いてみたいと思う。ところで、2年前当時「小泉ブランド」のコミュニケーション戦略を次の3つに整理していた。(番外日記・小泉総理の「ブランド戦略」分析 2005.8.13.)

戦略−1:本業、得意領域戦略/郵政民営化は勿論小泉さんにとってライフワークであり、得意としている領域での競争である。勝負をするならこのテーマでということになる。
戦略−2:一点突破戦略/構造改革は「分かりにくい」テーマである。この分かりにくさを郵政民営化を入り口→構造改革へとした図式のように一点=郵政民営化という特化戦略を採っている。
戦略−3:劇場舞台戦略/特に際立っているのがこの戦略である。総理経験者でこれほどメディアに取り上げられた人はいない。歴代の総理も多くの舞台に上がってはいるが小泉さんはテクニックではなく生来の「役者」としてである。パフォーマンスとして揶揄される場合もあるが、回数化していくに従い、いつしか、それも「小泉さんらしさ」を形成していく。

今読んでみると、まあ70%は当たっているなと思う。この総選挙は小選挙区制という仕組みにより、自民党が圧倒的な勝利をおさめる訳である。しかし、その後の経済・社会情況の様々な変化(ライブドア事件や格差社会の出現等)により、丁度1年前に「潮目が変わる」というテーマで次のように私は書いた。

小泉総理の訪米、プレスリーの聖地訪問におけるパフォーマンスも強いインパクトのある劇場演出とはならなかった。ましてや日本への帰国当日、元首相である橋本龍太郎さんの突然の逝去によって、小泉さんのパフォーマンスが対比され、ひと頃の驚きは単なる軽さへと変わってしまった。昨年の衆議院解散について、唯一正確に指摘していたのは天野祐吉さんであった。TVキャスターの質問に答え”あれは猫だましでしょ”と相撲の一手をもって喝破したのだが、この一年で私達の「感じ方」が180度変わったと思う。

そして、更に次のようにも書いた。
おそらくこの9月の次なる総理候補者への「バトンタッチ劇場」が最後になると思う。どんなラストシーン、劇場のエンディングとなるかはわからないが、「潮目」が変わってきている。その潮目とは、劇場型コミュニケーションから、日常型コミュニケーションへの転換である。別の言葉でいうと、メディア(情報発信)コミュニケーションから、リアル(対話)コミュニケーションとなる。人工的エンターテイメントから自然のエンターテイメントへ、仮想現実から体験現実へ、極端からバランスへ、刺激から穏やかさへ、軽さから奥行へ、・・・・・・キーワード的にはこうした劇場型から日常型への変化が加速していく。

今、こうして読み返してみると、このような潮目が変わったことを踏まえた戦略を小沢民主党が取って来たことが分かる。自民党の「美しい国づくり」コンセプトは抽象的イメージ的で、現実・日常感覚からかけ離れたものだ。一方、民主党の「生活維新」というキャッチフレーズを選挙直前に「生活が、第一」に変えたことはより日常言葉にした点で正解であり、その延長線上に年金問題や地方の活性、農業等への支援策があった。地方の1人区で民主党が圧勝したのだが、小沢党首が地方に出向き、小さな対話集会を重ねたのに対し、公示日からTVメディアに出演した安倍総理とは対照的である。一方的な「美しい国づくり」というマスメディアによる情報発信ではなく、少数であるが目の前の生活者との対話に支持が集まったということだ。
そして、特に特徴的であったことは、このブログでも再三再四書いて来た「個人」についてである。結論を言えば、選挙主体・方法が組織から個人へと明確に変わったという点だ。組織票を頼りにする政党はことごとく負け、個人に向かって選挙をした候補、特に都市部においては予想以上の票を獲得した。東京地方区で、誰もが5人目の当落線上にいると思われていた新人大河原雅子氏はトップ当選を果たし、個人のボランティアに支えられた川田龍平氏が当選したことに明確に表れている。あるいは大阪地方区で128万票というダントツのトップ当選を果たした無名の新人梅村聡氏もそうした一人だと思う。そして、マスメディアの選挙予測はことごとくハズレたが、個人メディアであるブログを始めとしたネット上の予測はかなり精度が高かった。実は、無党派は第一党であり、その無党派という多様な個人が動いたということだ。政治は一番遅れた世界であるが、新たな変化が始まる。(続く)  


Posted by ヒット商品応援団 at 13:18Comments(0)新市場創造