◆スポンサーサイト

上記の広告は2週間以上更新のないブログに表示されています。 新しい記事を書くことで広告が消せます。  

Posted by スポンサー広告 at

2007年04月08日

◆和と洋の狭間で

ヒット商品応援団日記No156(毎週2回更新)  2007.4.8.

前回東京ミッドタウンと六本木ヒルズとの比較を和と洋という対比の中で、その事例として両方に出店している和菓子の老舗虎屋についてふれてみた。東京ミッドタウンに行き実感されていない方も多いと思うのでそのコンセプトである「Japan Value」についてはデベロッパーのHP(http://www.tokyo-midtown.com/jp/shops_restaurants/area.html)を見ていただきたい。木と石、アクセントに竹と小石を使った和の世界であるが、その日本美を出店各社は独自なアート&デザインで表現している。事例として挙げた虎屋は正面には巨大な暖簾一枚だけである。アートディレクター葛西薫氏によるものと聞いているが、中に入ると白を基調にした素敵な空間となっている。六本木ヒルズのTORAYA CAFEはカジュアルな空間とメニューになっており、あずきやカカオなど6種が入ったデザートプレートのように和と洋を融合させたスタイルとなっている。一方、東京ミッドタウンの虎屋はまさに和のアートそのものとなっており、そのメインメニューは老舗虎屋を代表する小倉羊羹「夜の梅」である。480年という虎屋の歴史を受け継いで来た商品、THE虎屋である。

ところで、老舗和菓子が洋の世界を取り入れ始めたのは、1990年代からの洋菓子ブームに触発されたからであった。その頃の洋菓子はパティシェという言葉と共に、カラフルでアートな感覚の商品によって多くの支持を得てデパ地下のコア商品となり、その領域を広げていった。小豆を始めとした和の素材の活用から始まり、洋菓子屋さんが作る和菓子も生まれるようになる。その代表例が大阪の洋菓子店GOKAN(五感)であろう。一方、こうした背景から和菓子も若い女性に合わせたカジュアルで気軽に使ってもらおうと和カフェという業態へと進出してくる。和菓子ばかりか、日本茶ブームに乗ってお茶屋さんも和カフェへと進出し、東京では和ブームの一端を担っている、というのが現況である。最近では関西の和菓子屋さんが「MOCHI CREAM」という創作大福をつくり、FC展開による出店を東京で加速させている。大福餅の中の餡が和と洋のフレーバーあんで出来た冷菓で、いわゆる「変わり大福」というトレンド商品である。

何故和菓子や洋菓子の現在を書いたかと言うと、食は日常そのものであり、ライフスタイルに一番取り入れやすく変化が出やすいからである。単価も安く、チョット食べてみようかと気軽にトライできることから、いち早くライフスタイル変化を読み解くには良い着眼対象になるからだ。
今、日本の食の代表調味料である醤油は世界の調味料となっている。イタリアンやフレンチにも隠し味として使われているが、醤油のように洋から和を見ていくことによって新たな使われ方、新たな市場が世界中で生まれている。日本においては、戦後の洋ライフスタイルから1990年代初頭のバブル崩壊を受けて、立ち止まり、見直す中に和のライフスタイルもあった。丁度、和から洋のライフスタイルを見直している最中で、洋と和とがせめぎ合い、振り子のように洋と和を行ったり来たりしている。これは私の想像の域を出ないが、こうした振り子のような動きの中から新しい文化が生まれてくると思う。まだ文化には至っていないが、いくつかのラーメンブームを経て、和から洋からラーメンを見ていくことによってラーメンは進化している。従来の発想を捨て、逆の視点から見ていくことの中にヒット商品は生まれる。持論であるが、和は日本の至る所に埋もれたままである。埋もれた和に洋の視点、都市生活者の視点をプラスすることで見事に生まれ変わることができる。但し、振り子の時代であることを常に忘れてはならない。(続く)  


Posted by ヒット商品応援団 at 13:36Comments(0)新市場創造