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2007年04月04日

◆東京ミッドタウンと六本木ヒルズ      

ヒット商品応援団日記No155(毎週2回更新)  2007.4.4.

「格差」が多くの面で広がりつつあるとスタディするきっかけとなったのは、2003年4月にオープンした六本木ヒルズであった。まだ、「ヒルズ族」といった言葉もなく、「格差」などという言葉もなく、オープン数日は連日30万人もの観光客が見に行っていた頃である。入居企業を調べてみると、IT関連企業や飲食をはじめとしたベンチャー企業と共に、外資を含めた投資組合といった金融関連企業の多くが入居していたことに少々驚いたことがあった。また、数少ない雑誌の中で「3Aエリア」(赤坂、青山、麻布)という言葉が使われ、月額家賃が100万以上といったマンション物件が1万戸以上もあったことも「格差」を調べるきっかけであった。既に汐留の再開発では規制緩和が実行され高層ビル群が生まれ、東京も大きく変わるなとは思っていたが、六本木ヒルズオープンの時の予感はトレンドのような単なる変化ではなく、構造としての変化ではないかとの感じを持った。今回の東京ミッドタウンのオープンによって、そうした変化はいくつかの層へと明確に分化してきたとの認識を更に持った。

生活者調査を数多く実施してきたが、その中でマーケティングリサーチを実施したことのある経験者であればすぐ分かるが、クラスター分析という手法がある。クラスターとは好みや嗜好といった選好度が近い人達をグルーピングしていく方法で、どんな顧客を対象とするかを決める時によく使われる調査手法である。よく知られているところでは、ライフスタイルの違いによるセグメンテーションに使われている。専門的なことは別として、東京ミッドタウンのオープンによって東京はTOKYOという都市国家になったということである。NYのマンハッタンやロンドンのシティと同じになったと考えた方が良いと思う。その都市国家の性格であるが、東京ミッドタウンの中に「21_21デザインサイト」というデザインインキュベーションの試みを三宅一生さんをはじめとしてスタートしたことに注目したい。東京を「デザインシティTOKYO」の第一歩にしようということである。

クラスター(集合群)を形成する基礎はいくつかの価値観であるが、経済的要因を無視することではない。ただ、東京ミッドタウンの本質を「スイートルーム1泊260万もするリッツカールトンホテル」といった富裕層のための諸施設として注目すべきではない。都市に住むとは、世界中にあるビジネス、生活、遊び、といった情報とサービスを自在に手に入れられる可能性を持つということである。以前、「都市別荘」(http://remodelnet.cocolog-nifty.com/remodelnet/2006/10/index.html)というキーワードで書いたことがあるが、居住ではなく、滞在的住まい方が東京ミッドタウンに初めて出来た。つまり、居住者にはリッツカールトンのホテルサービスが受けられるという所有ではなく、使用に価値を置く価値観である。
ところで、東京ミッドタウンのコンセプトは「和」である。グローバルという世界に向けてはJapan Value=和を発信し、感性としては日本美となる。六本木ヒルズの洋コンセプトと比較し、対照的である。クラスターという視点に立つと、六本木ヒルズが洋テイスト=若者的であるのに対し、東京ミッドタウンが和テイスト=大人的である。どちらが良い悪いではなく、2つのクラスターが出来上がったということである。実は老舗の和菓子虎屋がこの2つの施設に入っているがその店づくりを比較して「違い」を見れば一目瞭然であろう。こうしたグローバルなクラスターがこれからも続々と東京、いやTOKYOに創られてくる。繰り返しになるが、大阪や名古屋の延長線上に東京という市場を見てはならない。極論ではあるが、東京の中心TOKYOでビジネス展開することとは世界市場を相手にしていることと同じである。(続く)  


Posted by ヒット商品応援団 at 15:40Comments(0)新市場創造